NSW Work Injury Claim

NSW労災のWPI一時金(Section 66)請求

評価率が結果を左右します。11%・15%・21%・31%の各基準を踏まえ、適切な証拠で請求戦略を組み立てましょう。

WPIしきい値(NSW)を正しく理解する

WPI 11%以上

身体障害(Physical Injury)の一時金請求が可能になる基本ライン。10%以下は原則として一時金対象外です。

WPI 15%以上

一次的な心理的傷害(Primary Psychological Injury)の一時金請求ライン。Work Injury Damagesでも重要なしきい値です。

WPI 21%以上

20%超の重要なしきい値で、重度区分の評価や260週以降の給付審査に影響しやすい水準です。ただし継続受給は法定要件と立証内容で最終判断されます。

WPI 31%以上

重度障害(30%超)に該当し得るラインで、長期補償・支援の審査に強く影響します。ただし、実際の給付範囲は法定要件と証拠で個別に決まります。

よくある失敗

  • 最初のIME評価をそのまま受け入れ、再評価・異議申立ての機会を逃す。
  • 既往歴と労災由来の症状を整理せず、WPIが過小評価される。
  • 心理的傷害で15%基準を意識せず、請求戦略が不十分になる。
  • 期限管理(通知・申請・争点整理)が遅れ、請求権や交渉力を失う。

勝率を上げる証拠準備

医療証拠

  • 主治医記録(初診から現在までの時系列)。
  • 専門医レポート(整形・神経・精神科等)。
  • 画像検査・手術記録・疼痛経過。
  • AMAガイド準拠のWPI評価資料。

戦略証拠

  • 職務内容と受傷メカニズムの具体的説明。
  • 復職制限・就労不能期間の証拠(給与・勤務記録)。
  • 保険会社対応履歴(決定通知・連絡記録)。
  • 将来収入喪失を示す資料(職業評価・雇用見通し)。

実務で先に固めるべきポイント

WPIが11%・15%・21%・31%付近にある案件では、評価率だけを見ても不十分です。週次給付、治療継続、因果関係、期限管理を同時に設計しないと、後で取り返しが難しくなります。

まず「時系列」「主治医の具体的機能制限」「保険会社理由への反証」をセットで整えると、低評価を覆せる可能性が上がります。

しきい値別の戦略(11/15 vs 21/31)

  • 11%(身体)/15%(一次性心理)帯:Section 66の適格性を先に固め、"ほぼ到達"で押し戻されない証拠設計を行う。
  • 21%(20%超)帯:260週以降の週次給付・治療継続審査を見据え、section 32A seriously injured worker の論点も同時に準備する。
  • 31%(30%超)帯:長期給付・治療・ケアの実務価値が高い反面、機能制限と介助必要性を時点付きで立証する構造化が必須。

クイック回答:21%/31%はなぜ一時金だけの話ではないのか 21%と31%は、260週以降を含む週次給付・医療継続の審査動線に直結しやすいためです。一時金資料だけ先行すると、長期権利の立証で後手に回ります。

保険会社が「基準未満」に寄せる典型4パターン

  • IMEで機能制限の定量化が欠落:診断はあるが生活・就労制限が弱く、WPIが低く出る。
  • 時期戦略の遅れ:130週/260週直前に証拠を足し始め、主導権を失う。
  • 争点の分断処理:週次給付・治療・WPIを別々に扱い、全体因果の筋が切れる。
  • 「あと少し」トラップ:20%を21%扱い、30%を31%扱いしてしまい、"超える"要件を落とす。

証拠アーキテクチャ(医証 + 戦略証拠)

  • 医証層:診断・因果・機能制限・予後・復職制限を一貫した時系列で示す。
  • 戦略層:section 78 notices、130/260週時点の立場文書、賃金/労働時間変化、往復書簡を整理。
  • しきい値層:11/15・21・31ごとに「到達理由」と「到達後の法的効果」をセットで提示。

Section 32A · Section 39 / 260 · Section 78 notice

よくある質問

WPIが10%と言われました。もう請求できませんか?

身体障害の一時金は原則11%以上が必要です。評価方法や資料不足で過小評価されることもあり、再検討余地はあります。

心理的傷害の基準は身体障害と同じですか?

同じではありません。一次的心理的傷害の一時金は15%以上が基準で、機能障害の立証が重要です。

WPI 21%以上や31%以上にはどんな意味がありますか?

21%以上(20%超)や31%以上(30%超)は、週次補償や長期支援の審査で重要なしきい値です。ただし自動的に給付が続くわけではなく、法定要件と立証が必要です。

保険会社の評価に同意する前に何をすべきですか?

同意前に、全医療記録の確認、独立専門医意見、しきい値(11/15/21/31)ごとの法的影響を整理してください。

「20%に近い」だけでは、なぜ足りないのですか?

重要なしきい値は通常「20%を超えること」が要件で、「近い」だけでは不足します。機能制限、治療継続、時点資料を構造化して、しきい値超過後の法的効果まで示す必要があります。

IMEが主要症状を落としているときは?

カルテ・画像・就労制限を照合し、漏れを項目化したうえで独立専門医意見で補強します。実務では「不公平だ」と言うだけでなく、比較可能な医療事実を示すことが重要です。

和解交渉を先に進めてもよいですか?

11/15/21/31付近では、まず中核証拠(医証・収入損失・時系列)を固めてから交渉順序を決める方が安全です。早期和解は、長期給付や治療継続の主張余地を狭めることがあります。