NSW 労災ケースノート
Warrumbungle Shire Council v Xu [2026] NSWPICPD 13, 「思い込み」と言われても心理的傷害の因果関係は自動否定されない
保険会社や雇用主から、「上司の対応を誤解しただけだ」「普通の管理を攻撃だと思い込んだだけだ」と言われているなら、この事件は参考になります。Warrumbungle Shire Council v Xu [2026] NSWPICPD 13 は、誤認、思い込み、妄想という言い方だけでは心理的傷害の因果関係を自動的に否定できないことを示しました。PIC は結局、仕事が精神疾患の発症や悪化に実質的に寄与したかを証拠全体で判断しなければなりません。
一般情報であり、法的助言ではありません。
事件の概要
- 審理機関: NSW Personal Injury Commission(Presidential appeal)
- 判断日: 2026年4月1日
- 判断者: Acting Deputy President Sweeney
- 事件名: Warrumbungle Shire Council v Xu [2026] NSWPICPD 13
- 争点: 心理的疾病傷害、業務起因性、perception / misperception 論点、一審での section 11A 抗弁
背景事情
Xu 氏は試用期間中の water project engineer として勤務していましたが、証拠上、短期間のうちに強い職場ストレスが続いていました。
上司に対する正式な grievance、仕事上のストレスに関する受診記録、休職や退職に至る流れ、その後のメルボルンへの移動などが記録されていました。
本当に争われていたのは、心理疾患の存在そのものよりも、その状態が仕事によって実質的に引き起こされたのかという点でした。
雇用主の主張
雇用主は、一審メンバーが労働者の話の不自然さ、誤認、誇張、あるいは内因性の精神疾患の可能性を十分に検討していないと主張しました。
NSW の心理的傷害事件では、保険会社が「実際にいじめや敵対環境があったのではなく、労働者の受け止め方の問題だ」と主張することがよくあります。
Xu 事件は、そのようなラベルだけで片付けず、診療録、時系列、証人資料を丁寧に見て本当の因果関係を判断すべきだと示しています。
上訴結果
Acting Deputy President Sweeney は一審判断を維持し、Certificate of Determination を支持しました。
一審理由は長大ではありませんでしたが、競合する精神科意見を把握し、なぜ最終的に労働者側の因果関係立証を採用したのかは十分に示されていると評価されました。
つまり、perception や misperception が問題になる事件でも、最終的には仕事上の出来事が心理的疾病傷害を生じさせたかを正面から判断しなければならないということです。
実務で重要な証拠整理
- GP、心理士、精神科医の初期診療録を早く確保すること。特に出来事に近い時期の記録が重要です。
- 苦情申立て、メール、会議記録、休暇記録を保存し、時系列を崩さないこと。
- 言語やコミュニケーションの問題がある場合は、本人の説明を正確に理解できた医師や関係者を明確にしておくこと。
- section 78 notice、責任否認、section 11A 抗弁に対応する前に、まず因果関係の証拠構造を整理すること。
この事件が役立つ理由
「考えすぎだった」というだけでは法的な答えにならないことが分かります。
心理的傷害事件では、感情的な主張よりも、初期記録と仕事上の資料がどれだけ整合しているかが重要です。
心理的傷害、業務起因性、section 11A、責任否認が重なる事件で、PIC がどこを見るのかを理解する助けになります。
よくある質問
上司を誤解しただけだと言われたら請求は負けますか。
必ずしもそうではありません。Xu 事件では、雇用主が誤認や妄想を主張しても、PIC は証拠全体を見て業務起因性を判断すべきだと示されました。
section 11A の争いにも使えますか。
はい。合理的管理行為の主張と、労働者の受け止め方への攻撃が一緒に出ることは多いです。Xu 事件は、その前提事実と因果関係自体を丁寧に詰める必要があると示しています。
原判決
関連する日本語ページ
「思い込み」と言われたときほど、証拠の並べ方が重要です
保険会社が、あなたは敏感すぎる、誤解している、仕事との因果関係を証明できないと言っているなら、時系列、診療録、職場資料を先に整理した方が強いです。